エシカルファッション例で学ぶ、サステナブルな衣服選びの実践ガイド

ethical_fashion_thumbnail サステナブル・エシカル

「最近よく耳にする“エシカルファッション”って、具体的にどんな例があるの?」

そんな疑問を抱えているあなたへ。

近年注目されている
エシカルファッションは、
地球環境や人権に配慮した新しいファッションのあり方として広がりを見せています。
しかし、その概念は抽象的であり、「どんなブランドが該当するの?」「エシカルってオーガニックのこと?」と
混乱している方も多いのが現状です。

本記事では、
「エシカルファッション 例」というキーワードに基づき、
定義から具体的なブランド・素材、そして私たちにできる取り組みまで、
分かりやすく解説していきます。

  • エシカルファッションの正しい意味
  • 判断基準としての10原則とは?
  • フェアトレードやリサイクル素材の活用事例
  • 実際に買えるブランドの例
  • 普及を妨げる課題とその解決策

SDGs時代の今、環境や人を思いやるファッションは「一部の人の選択肢」ではなく、
未来のスタンダードとなる可能性を秘めています。
この記事で、あなた自身の行動につながる具体的なヒントを得てください。

エシカルファッションとは/定義・意味

エシカルファッションとは、衣服の生産・流通・消費のすべてのプロセスにおいて、倫理的な配慮がなされているファッションのことを指します。
“エシカル”とは英語の「ethical(倫理的な)」に由来し、人権・環境・動物福祉などへの配慮を意味します。
そのため、単なる素材の選び方だけでなく、労働者の権利や工場の安全性、動物実験の有無なども評価対象となります。

ファッション業界は世界で2番目に環境負荷の高い産業ともいわれており、大量生産・大量廃棄による社会的・環境的な問題が深刻化しています。
エシカルファッションは、このような問題に対する一つの持続可能な解決策として世界中で注目されています。

英語 “ethical” の意味・語源

「ethical」は「道徳的な」「倫理的な」という意味の形容詞であり、個人や企業が正しいと信じる行動基準に従うことを表します。
ファッションにおいては「他人に対して正直であること」「持続可能性を重視すること」がエシカルの基本概念となります。

SDGsとの関係

エシカルファッションは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)と深い関係があります。
特に以下のゴールと直接関係しています:

  • 目標8:働きがいも経済成長も(適切な労働環境)
  • 目標12:つくる責任・つかう責任(循環型社会)
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を(環境配慮型素材)

サステナブルやスローファッションとの違い

「エシカルファッション」「サステナブルファッション」「スローファッション」は似ているようで異なります。

用語 定義 特徴
エシカルファッション 倫理的配慮 人権・労働・動物福祉などに着目
サステナブルファッション 持続可能性重視 環境負荷の少ない素材・循環型生産
スローファッション 消費行動の見直し 長く使える服・低頻度購入を推奨

ラナ・プラザ崩落など背景史

2013年、バングラデシュで発生した「ラナ・プラザ崩落事故」は、世界中のファッション業界に衝撃を与えました。
死亡者1,100人超を出したこの事故は、劣悪な労働環境の象徴として記憶されています。
これをきっかけに、生産過程の透明性やサプライチェーン全体を見直す動きが活発になり、
エシカルファッションの概念が市民権を得るようになりました。

エシカル消費とコンシューマー像

「買い物は投票である」という言葉の通り、消費者の選択が社会を変える力を持ちます。
価格だけでなく、生産背景や環境影響を考えて選ぶ姿勢が求められています。
特に20代〜40代のZ世代・ミレニアル世代を中心に、「共感消費」の動きが加速しています。

エシカルファッションの基準/判断基準

「これがエシカルファッションだ」と言える明確な定義は存在しません。
しかし国際的なガイドラインや評価基準を参照することで、その指標を把握することができます。

Ethical Fashion Forum の10原則

ロンドン発の「Ethical Fashion Forum(EFF)」が発表した10の原則は、業界内で広く支持されています:

  • 安全で健康的な労働環境の確保
  • 児童労働の排除
  • 持続可能な素材の使用
  • 生産者への公正な対価
  • エネルギー消費の削減
  • 廃棄物の削減・リサイクル
  • 動物福祉への配慮
  • 地域社会への貢献
  • 透明性のあるサプライチェーン
  • 教育と啓発活動の推進

労働・環境・動物福祉などの観点

一般にエシカルファッションを判断する際には、以下の3点からチェックされます:

  1. 労働:最低賃金以上の報酬、児童労働排除、安全な作業環境
  2. 環境:オーガニック素材、リサイクル素材、低排水技術の活用
  3. 動物福祉:毛皮や革の使用是非、動物実験を行わない方針

グリーンウォッシュに注意

最近では「サステナブル」や「エコ」といった言葉がマーケティングで乱用される傾向があり、
“見せかけだけの環境配慮”=グリーンウォッシュに注意が必要です。
例として、実際にはサステナブル素材が1%しか使われていないのに「エシカル」を名乗るケースもあります。
消費者側もラベルや第三者認証などをしっかり確認する意識が大切です。

エシカルファッションの取り組み例

ここでは、実際に世界中で行われている具体的なエシカルファッションの実践例を紹介します。
消費者が選べる選択肢は意外にも多く、日常生活の中で取り入れやすい工夫がされています。
以下に代表的な3つの取り組みを挙げ、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

フェアトレード

フェアトレードは、発展途上国の生産者に対して適正な報酬を保証する制度です。
特にコットン栽培や縫製工場に従事する労働者が対象となり、搾取のない労働環境を実現する重要な枠組みです。

フェアトレード認証を受けた商品には専用マークがついており、消費者が安心して選べる指標となります。

「このマークがある服なら、生産者にも優しいってことなんだね」

オーガニックコットン

オーガニックコットンは、農薬や化学肥料を使わずに栽培された綿花です。
通常の綿栽培では大量の水や農薬が使われるため、環境破壊や健康被害が懸念されます。
一方、オーガニックコットンは土壌や水資源を守るだけでなく、生産者の安全にも寄与します。

近年ではH&MやZARAといった大手ブランドも積極的に導入しています。

アップサイクル/リクレイム

アップサイクルは、不要になった素材や製品に新しい価値を加えて再利用する方法です。
リクレイム(再回収)された衣料を分解・再構成して、新たなファッションアイテムに生まれ変わらせる取り組みは、
廃棄問題の解決にも直結します。

エシカル素材・サステナブル素材の活用例

エシカルファッションを実践するうえで欠かせないのが素材の選定です。
素材にはそれぞれ環境負荷や再利用性、労働条件などに影響を及ぼす要素があります。
ここでは、注目されているエシカル素材を3種類紹介します。

リサイクルポリエステル

ペットボトルや古着などから再生されたリサイクルポリエステルは、従来の石油由来ポリエステルに代わる新素材として注目されています。
繊維の質は通常のポリエステルと変わらず、Tシャツ・パーカー・バッグなど幅広く使用可能です。
また、CO2排出削減やゴミの減少にも貢献する点が評価されています。

テンセル/和紙糸などの天然繊維

テンセルはユーカリの木材パルプから作られる再生繊維で、高い吸湿性と柔らかな肌触りが特徴です。
また、抗菌性があり敏感肌にも優しいため、下着やリラックスウェアに多用されます。

さらに、最近では和紙糸や竹繊維など、日本古来の自然素材も注目されており、地域循環型ファッションとしての価値も高まっています。

植物性レザー・バイオプラスチック

動物性皮革の代替として、植物由来のレザー(パイナップルレザー・アップルレザーなど)が開発されています。
見た目や耐久性は本革に近く、動物福祉の観点から支持を集めています。

また、バイオプラスチックはトウモロコシやサトウキビなどの植物を原料とし、環境中で分解可能な新素材として、靴底やボタンに使用されています。

エシカルファッションブランド例

実際にどのようなブランドがエシカルファッションを実践しているのかは、多くの人が気になるポイントです。
日本国内外には、エシカルな理念を掲げて積極的に取り組むブランドが多数存在します。
以下に代表的な3分類に分けて紹介します。

People Tree、Patagonia、Stella McCartney

People Tree(ピープルツリー)は、英国・日本発のフェアトレード専門ブランドで、オーガニックコットン製品を中心に展開。

Patagonia(パタゴニア)はリサイクル素材の活用や自然保護活動にも力を入れており、アウトドアブランドの中でも特に評価が高いです。

Stella McCartneyはハイブランドでありながら、リアルファーやレザー不使用を徹底し、ヴィーガンファッションの先駆者的存在です。

ユニクロやイオンSELF+SERVICEの取り組み

グローバルな量販ブランドもエシカルへの動きを見せています。
ユニクロは全店舗で古着回収を実施し、リユース・リサイクルを推進。
また、難民雇用や障がい者雇用への取り組みも評価されています。

イオンのSELF+SERVICEは、環境に配慮したエコ素材や製造工程の簡略化を採用した商品展開で話題を集めています。

ネット専売・小規模ブランド(NETENE.など)

SNS時代ならではの、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドもエシカル化を加速させています。
例としてNETENE.は、草木染め・和紙糸を使ったウェアを中心に展開し、オンライン限定で販売。
生産から販売までの中間マージンを省略することで価格を抑えつつ、エシカルな価値を提供しています。

普及の課題・乗り越えるポイント

エシカルファッションには多くの魅力がある一方で、まだまだ課題も山積です。
ここでは普及を阻む主な要因と、それを乗り越えるためのポイントを具体的に紹介します。

価格の高さと試着環境の問題

エシカル素材は生産コストが高く、フェアトレードも適正な報酬が必要なため、価格帯が高めになりがちです。
さらにネット販売が多く、実際に手に取ったり試着できる機会が少ないのも大きなハードル。
消費者側からすると「気になるけど試せない」「高くて手が出ない」と感じることも多いです。

若者に受け入れられにくいデザイン・価格

特に10〜20代の若年層には、トレンド性や価格のバランスが重要視されます。
エシカルファッションはどうしても「ナチュラル系」「シンプル系」に偏りがちで、スタイリッシュさや個性を求める層には響きにくい面があります。
よりファッショナブルで低価格な商品展開が、今後のカギを握るといえます。

流通・サプライチェーンの透明性が鍵

ブランドが「エシカル」を掲げるためには、生産背景を含めた透明性が求められます。
しかし実際には、複雑なサプライチェーンにおいて「どの国で誰が作ったのか」を把握するのは容易ではありません。
トレーサビリティ(追跡可能性)を確保し、第三者認証や報告書の公開などの信頼性の担保が不可欠です。

「ただ“エシカル”と書いてあるだけじゃ、本当かどうかわからないんだね」

まとめ

本記事では、「エシカルファッション 例」という視点から、
その定義・基準からブランド紹介、さらには普及に向けた課題まで詳しく解説しました。
エシカルファッションはただのトレンドではなく、社会・環境・個人の価値観の融合です。

項目 内容
定義 人・地球・社会に配慮したファッション
基準 労働環境・素材・動物福祉など
素材例 リサイクル繊維、オーガニック素材
ブランド例 People Tree、Patagonia、NETENE.
課題 価格・流通・デザインの壁

すぐにすべての服を買い替える必要はありません。
しかし、一着から始める「思いやりの選択」が、あなた自身と社会の未来をつくる第一歩です。

「どこかで誰かが幸せになるファッション」、それがエシカルの本質です。

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